ヨモヤマバナシ

【 ICCS 】

掲載日 2008-10-24

いやぁ〜 長らくお待たせいたしました。


カスタムキューよもやま話を2年ぶりに再開させていただきます。
(パチパチ…とチラホラ)


さて久しぶりのテーマとしまして、選びましたのがICCS。
ご存知の方もいるかと思いますが、International Cue Collectors Showの略です。
今流行のCSI NYとかCSI MIAMIとも似てますね。(似てない似てない…。)


今年はつい先日の10月8日〜11日までのスケジュールで、アメリカのど真ん中、ミズーリはカンサスシティというところで行われました。
そもそもこの集まりは、Joss WestのBill Stroud氏が主催者でキューコレクターの為にとはじめたShowです。


今回で7回目を数え、第1回は、Bill Stroud氏の住まいのあるニューメキシコで行われ、その後はカリフォルニア・ラスベガス・テキサスなどからソルトレークシティなどとあちこちで行われています。
私は7回のうち6回におかげさまで出席しておりまして、主要メンバーの性格などもようやくつかみかけてきたところです。


今回集まったキューメーカーは11社。
Joss West・Schick・Bender・PFD・Mc Worter・RC3・Samsara・Gilbert・Nitti・Arthur queue・Manzinoという面々でした。
粒ぞろいのピカピカのキューメーカーばかりが揃いました。
また、展示ブースにはこの他に、10数人のコレクターがそれぞれにこだわりのあるキューをずらりと持参して『どうだ!』とばかりに飾ってありました。みな、気合が入ってすごいものばかりです。


このICCSは販売目的というよりは、親睦がメインであり、招待されるキューメーカーなども一応、コレクターに任されています。
とは言っても出展キューメーカーの多くは、Joss WestのBill Stroud氏の息の掛かった人ばかりで、私としたら、あのメーカーやこのメーカーが来るべきなのになぁ、来て欲しいなぁと思ったりもする訳で…(笑)
最近のICCSの傾向としては、インレイやスクリームショーのSuperファンシーなキューのオンパレード。
一目で高い!と分かるものばかり…。
もちろん、私も綺麗なキューは大好きですが、私が最も好む昔ながらのキューはだんだん見られなくなっています。


今回のShowの中で一際注目を集めていたのがBob Manzino。
コレクターからの熱いオファーをずっと受けながら、忙しいと言う理由で参加をしていなかったBob Manzinoが遂に初出展。
Manzinoはフロリダの高級別荘地Bocalatinに居を構え、年間製作本数が10本に満たない、スーパーレアのファンシーキューメーカーです。
今回もBobがShowの為に用意出来たキューは3本のみ。Showの最初で全て売れてしまいました。メデタシ・メデタシ!というか大変な人気です。
また、会場にいた人達でBobのキューを所有していたのはたった2人!これから後のキューは、より入手し難くなること間違いなしですね。


このManzinoは大変ユニークなキューメーカーで自分のキューは誰にでも作るという訳ではありません。
私などは幸運にも好かれているようで、1年も待たずに手にすることが出来ますが、オーダーを受けてもらえない…と愚痴を溢す人たちを、私は何人も目にしてきました。


Bobはコレクターのコレクションを見て、本当にこの人はキューを分かっているのか?と私に聞いたりします。
自分の仕事を本当に分かってくれる人、評価してくれる人にしか作りたくないというのが、彼の気持ちで、彼のプライドでもあるのでしょう。
まぁ、コレクターとしては自分なりの好みで集めているのですからもちろん悪くはないのですが、私はBobの気持ちも分かります。


GinacueやSzambotiのショップを訪れても門前払いというのがこの世界、5・6年待たされるのはザラであると覚悟すべしですね。
この傾向はカスタムキューの大御所ほどあるように思えます。
大御所と言われる人たちは、皆、変人です。
年老いたお金持ちと似ている気がします。


Manzinoのすばらしい点をいくつか彼の言葉を通じて紹介します。
『自分では、今世界のキューメーカーでデザイン的にTop3はThomas Wayne・BlackBoarのTony・そして自分だと思う。』
『キューをデザインしてインレイを入れるとき、必ずトリッキーな所がある。それを他人に理解出来ない様にうまく仕上げるのが大切。』
『自分の仕事はLuckyも見に来ているから分かるだろうけど、大変シャープで綺麗な事。スペースやギャップはもってのほか。素人目には理解出来ないだろうけど、自分の仕事はプロの誰に見せても自信がある。宝石などを扱う人に見てもらってもO・Kだよ』


Bobと私は歳が同じということもあり、大の仲良しでお互いを良く知っていますが、彼は自信家ではありませんし、自慢でもないのです。本当に心の底からの言葉ですね。
彼は今回のショーの最後に、忙しい中わざわざ来た甲斐があったと話していました。
あまり他のメーカーと交流をしないBobにとっていつもは他のメーカーの仕事を目にすることがありません。


ただ、今回他の人の仕事・値段を見て、『自分は値段のつけ方を間違っていたようだ。どれをとって見ても自分のキューは安すぎる…。』と言い『これからは悪いけど、価値に見合った価格になるよ。』と真剣な目で話されました。
本数の少なさや仕事の質から言って、当然なのかもしれませんが、私としてはもちろん残念ですよ…。


もちろんManzinoファンとしては、値段が上がってもオーダーし続けますが。
私はGusを集めたときもそうでしたが、安く買うことだけが目的ではありません。メーカーさんの仕事を認めることも大事だと思っています。
そしてこの先Manzinoは、この価格以上に価値があがることは間違いないと思うメーカーですし。


今でさえBobは何年分ものバックオーダーを抱えていて、中には1本1200万というレベルのキューも何本かあるそうです。
皆、今回のイベントには来ていないコレクター達だそうで、表には出てきていないアメリカの新しい層のコレクターの存在を感じさせてくれた会話でした。
その他のキューメーカーで注目を浴びているのがArther Queue。1本1650万という桁外れのキューを展示していて、ブース前の往来が一番激しかったのは間違いないところですね。


これまたスクリームショーや細かなインレイのオンパレードです。見た目で高いだろうと予測できます。
彼のブースでは、ちょっと笑うに笑えない話もあったのですが・・・ここで暴露してしまいます。Showの初日、若手のカップルで来場していたコレクターがArtherのキューを手に取り、『いくら??』
Artherは『25』
彼はO・Kと言って予約をしていきました。
次の日の午後、彼は財布から100ドル紙幣を1枚出して、『残りはクレジットカードにしてくれ』
メーカーは『???』
Artherも若者もお互いの勘違いに気付き、若者は気まずくてブースを離れました。


『25』の単位はthousand。それを若いコレクターさんはhundredと勘違いをしていたのです。
誰が見ても理解出来ると思いますが、確かに$2,500.00でも若者にとっては高価な買い物です。
私も集め始めたころのことを少し思い出してしまいました。信じられないほど高くてビックリしたものです。


あ・そうそう。Showのもうひとつの気付いたことは・・・
Billiard Encyclopedia(百科事典)が発行され、皆に大好評だったこと。
初日で全部売れてしまい、著者のV・Stein氏は大変満足でした。
革表紙のコレクターズエディション(価格:10万円)の予約もすでに150冊を超え、間もなく第一次の締め切りだそうです。
Billiard Encyclopediaの英語の説明文には、『息を呑むほどのGus Szamboti Collection』というくだりもあり、自分では、嬉しいような、恥ずかしいような…。


カスタムキューの写真だけでも3000本以上載っているので、見ているだけで、キュー好きにはこたえられない百科事典だと思います。
以前のものとはスケールや内容も格段にスケールアップされており、ほとんど皆が1冊から…中には7冊とか予約していました。

次回はコレクターズショーのTheme Cueについての私の考察と会場に来ていたキューメーカーたちとの会話、特にSearingやShowmanなどを紹介できればなと考えています。
キューメーカーの夢や希望と私から見た可能性。又、サポートすべき所などもよりシビアに話してみたいと思います。