ヨモヤマバナシ

【 2010 Super Billiards Expo 】

掲載日 2010-04-05

う〜ん!!愉しかったね!!
久しぶりにペンシルバニアのValley Forgeで行われたイベントに参加しました。多分3,4年ぶりかな?
実は宿がなかなか取れずにいて、今年も参加を諦めていましたが、NY在住の知人Victor Stein氏の部屋に入れてもらえることになり、そのうえイベント前日である水曜日の午前にNew YorkのJFK空港まで迎えに来て貰うというVIP待遇!これは行かないわけには行きませんね!


今回の私の目的は、やはり知人達に会うことです。様々な人々と出会い、交流を深め、知識を博めるということは、やはり本場アメリカのこのイベントでしかできないこと。本物かニセ物か、などというのはまた別にして、40年、50年…、中には100年も昔の物までお目にかかれるなんてことがあるのは、まさにここValley Forgeならではのこと、とても嬉しい貴重な体験があるのです。


Showは木曜日のAM11時からスタート。毎日20時まで開催され、最終日は日曜日の17時までです。
展示ブースには必ず担当の人がつくこと、早仕舞いにはペナルティがあり、税務申告もきちんと行うことが約束されています。このあたりは日米共に税収不足で以前より大分うるさくなっていましたね。


初日を終えて、ロビーで日本からの参加者Dr.Kと少し立ち話。
お互いに業界内に詳しいだけに、同じような認識、風潮を感じました。それは「新しいキューメーカー、新しいコレクターが育ちつつある。」ということです。
この情報が欲しい人は「Cues」のDr.K氏のコラムをご覧くださいね。
綺麗な写真と最新の情報が載って、オススメですよ。


おっと…、青いシャツにJohn Showmanが2本Balabushka?を持って私にウィンクしていますねぇ。あっ、これは5,6年程前にこの地Valley Forgeで一大論争を巻き起こしたデザインと似ています。あの時は会場のほとんどの人が「Balabushkaだ!」と言ったのですが、…それで私もすっかり大枚はたいて購入する気になりましたが、結局たった1つの疑念があって買うのをやめました。
その疑念とは、「ハギの入りが違う」ということでした。
パーツは全てGeorgeと同じ物、リングからボルト、ジョイントまでオリジナルと全く一緒という作品に加え、スリーブに入ったダイア型のインレイが斜めに入って超ユニーク。
その時キューを目にした会場の全ての人の心が強く揺さぶられたのは言うまでもありません。
またG.Balabushkaはハギを他から購入していたのも有名なので、「これは違う!」という決定的な理由にならなかったのです。
因みに今回Johnが手にして見せてくれているものは76年製と79年製で、もちろんGeorge Balabushka作ではありません。でもGeorgeが亡くなったのが75年ですから、仕上がった時代も近くて、ましてやパーツも全て一緒となれば、Georgeのキューと皆が間違えるのもおかしくありませんね。
この2本のキューの作者と出会い、エピソードを聞いて、長年といっても5、6年前のことですが、私の中にあった大きな疑問が氷解したことは言うまでもありません。嬉しかったね〜、ホントに。


このほかのキューでは、Harvey Martin作のアイボリーハンドルが私の目の前に出現しました(時価では1000万円程かと思います)が、私の専門外ですので顔だけ出して口出しはしませんでした。こちらの売る人間と買い手の交渉は大変厳しくて参考になりましたが、私ではとても太刀打ちできないですね。このキューは3CのチャンピオンA.Gilbertのプレイキューだそうで、世界に3本とない物だそうです。


ニセ物というわけではありませんが、2,3本注意しなくてはならないキューがあったこともお知らせしておきます。


到着して水曜日の夕方、翌日からのイベントの入場ホルダーを貰い受けに行くと、セキュリティーのL. Brownという人から「Gusの4剣で大変な物があるので買って欲しい。」とのこと。
次の日、私たちのブースに持ってきて見せられた物は、雰囲気はGus、全体的に非の打ち所が無く、インレイも大変美しい、シャフトも何も素晴らしい…。たった一つ気になるのは、ピンの角度がGusよりも幾分心なしか丸い、という点だけです。価格もGusの風であり、おいそれと手が出せないことも確かですが、私は「これは現行のBarryの物とは違っているけど、多分最初の頃のBarryである。」と伝えました。私の所有している数本のBarryのEarly workよりも明らかにピンが尖っていますが、Gusの物ではないと感じたわけです。


彼はイベントの最中も何度か私のところへ価格交渉に来ましたが、私は相手にしませんでした。
そして最終日に本人が「売れた!」と喜んでいたので聞いてみたら、私に言っていた金額の1/3で売れたそう。言い訳がましく、自分は知らなかったけどあれはBarry作で良い値で売れて良かったよ、だって…。こっちの人間は信じられません!!(笑)


2日目にBalabushkaの本物の出物が2本、私の前に出てきました。1本は高くてとても手が出ませんが、タイトリストブランクの1本は最高価格の人に売るとのことだったので、きちんと私の提示額を伝えました。1バット2シャフトの1オーナーキューで、極上のコンディションです。結果はどうだったと思います?最終日の最後まで私は粘ったのですが、結局この持ち主のおじいちゃんは誰にも売らずに持ち帰ったのです。自分の持っている物の値踏みを皆にさせて、困ったときの助けにしようという魂胆だったのでしょう。真剣に購入を考えていた自分はすっかり気落ちしてしまいました。ガックリ!!


階下のキューブローカーのブースにも同様のタイトリストブランクの本物があったのですが、こちらはコンディションも悪く、シャフトも1本で細く痩せていました。価格は手頃でしたが、前述の件もあり購入はしませんでした。
買っておけば…、失敗!!


このValley ForgeはBalabushkaのいたNew Yorkより車で3時間程…、そしてGus Szambotiの居宅からは30分程ということもあり、彼らの死後、20〜30年経た今でも本物を目にすることがままあります。もちろんニセ物も堂々と売られていますので、注意は必要ですが、アメリカのe-bayよりはずっと良いと思いますね。


階下のブースでBalabushkaを見ている時、チャイニーズアメリカンの若い連中がキューを1本持ってブローカーに聞いていました。「このキューは誰が作ったと思う?」自分は気にしませんでしたが(目の前のBalaに夢中!)なかなか結論が出ないようなので、ちょっと拝見。「これはKersenbrock!多分80年頃の作品だね。」(私)

「やった!!」連中によるとこのキューをSWに送ったら、初期のSWと言われたそうで、Ed Youngに見せたらKersenbrockといわれて困っていたそうです。(Ed Youngは現在Kersenbrockと一緒にキュー作りをしているメーカー。)
SWとKersenbrockは似てはいますが、スクリューも違うしインサートも違います。また、当然絞めこんだ感覚からテーパーもバイブレーションも違うのですが…。有名なブローカー達でさえ、キューの判別ができないのには少し驚きました。
「本物だけを見続ければ良い目を育てられるんだよ。」という言葉を信じて、長年本物だけを見てきて良かったな、と感じた一時でしたね。


出会いも良かったのですが、実は今回の目的のもう1つは、私のキュー作りについての知識をDennis Searingに教えてもらうことでした。
私は一昨年、Abe RichのShopの素材を購入して、色々キュー作りを実地に学び、間もなく始動するわけなのですが、じっくり最先端のメーカーにナマの声で教えてもらえることはホントに有難いことで、滅多にないチャンスなのです。Dennisは朝食後にパソコンを開いて私の疑問に丁寧に答えてくれたので、日本からわざわざ出向いた甲斐がありました。自分のキュー作りの師匠はたくさんいて、6,7人はいますが…、マシンにおいては絶対にSearing!です。木材はDaveであり、構造はSW(Kersen)、Black Boarとも1ピースハンドルという点は似ています。頭でかっちですが、はてさてどんなキューになりますか…。56歳の手習いですから、期待しないで愉しくやろうと考えています。

4日間のショーもあっという間に終わり、心は早くも来年のイベントに飛んでいます。