ヨモヤマバナシ

【 AZより木愛を込めて 】

掲載日 2009-06-23

AZの朝は早い。
朝5時過ぎには明るくなり始め、6時前にはもう散歩している人たちが結構いる。仕事をするのに6時スタートも珍しくないと知り驚いた。
やはり日中が暑いから午後には能率が落ちるのがひとつ、それからもうひとつの理由が東部時間と3時間の差があり、午後2時になると仕事にならない人が多い、と言う。メールしても返事も来ないし、決定権はNew Yorkなどの東部にある、とのこと。所変われば勤務時間まで変わるのだ、と妙に納得!


こんなことを書いていてふと、窓外に目をやれば、ほんの4〜5メートルのところで野ウサギが朝ごはん中。少し見ていると珍しくハミングバードもやってきた。彼らはいつもお昼近くに見かけるのに…、のどかなものである。
テーブルの上の日陰はいつの間にか場所を移し、こちらも移動を余儀なくされる。
外はもう何度か?室内は華氏75度ぐらいで摂氏22.3度なのかな?


「摂氏」といえば、今年福岡ソフトバンクに入った摂津正投手をご存知だろうか?
摂氏と摂津氏では話が飛びすぎかな?でもホークスだから飛ぶのは大目にみてもらいたい(^^)
彼は東北の秋田出身、新人ながらオールスターにノミネートされた、とニュースに載っている、大した活躍ぶりである。
昨日まで既に30試合に登板、ERA(防御率)も1.44と快調である。
彼とは仙台で知り合い、3度ほど食事を一緒にした。「プロを目指せ!」「タバコをやめろ!」と言ったら、すっぱりやめたが、その後すぐ本当にドラフトされた時は嬉しかった。ましてやこの大活躍は自分の事のように嬉しい。今ではAZの朝一番の楽しみが西日本新聞のHPで結果を見ること。
今年のソフトバンクの活躍の陰には摂津君の頑張りが大きいことを、私は声を大にして言いたい。王さん、もちろんご存知ですよね!彼は今27歳の遅咲きルーキーですが、人生に遅すぎということはないことを物語っているよう。


彼はもともと全日本のアマ球界のエース、先発完投タイプだったが、今の役割は中継ぎ。中継ぎ、とは前にも後ろにも何かがあってそれをつなぐ役割、…キューで言うと…ジョイント?ジョイントかぁ…、今までいろいろ書いているからなぁ、…ジョイントはキューの中で一番大切なところのひとつ。
何か書けるかな?よし、ここから書けるだけ書いてみよう、始まりだ。


ここで問題(いきなりストレート!!)
?ジョイントピンの素材は何種類ご存知ですか?
?ジョイントピンの形状をいくつ挙げられますか?


どうでしょう?なかなかピンとこない、などと言わないでください、カーブのすっぽ抜けで、それは落ちてないョ。


?についてはまず、ブラス(真ちゅう)、ステンレス、タイタニアン(チタン)、グラスファイバー(G10)ぐらいでしょうか。
少し前では木ネジとか鉄もありましたが、Poolcueでは今はあまり見かけませんね。
素材はこのぐらいですが?の形状は、と言うと大変な数があります。
まさかピン形状と言うと14山か18山、それとラディアル、ユニロック、あとはフラットフェイスのビッグスクリュー、しか知りません、なんて言わないよね?
それは少し大雑把過ぎますね、今日はこの辺を少し話してみましょうか。


まず山の数がたくさんあるんです、多分 太ねじ(ビッグスクリュー)では8山から始まり14山までありますね。この山の数は1インチ(2.4センチ)の中にいくつあるかというものです。
私は8山は見たことがないのですが、スタンダードは10〜11山ぐらいで12山は少数派、最後の14山はBenderです。
小さいねじ(スモールピン)では12山から始まり22山ぐらいまでいますね。スタンダードはもちろんご存知のとおり14山と18山。
何、この辺は知っている?じゃあ、今日はもう少し細かく話しましょう、聞いて驚くなよ。


んーと…、ねじについてだけど、山の数が違うことは今話した通りで、どのキューメーカーが何を使っているか、それはあと自分で調べてくださいね。
今日の本題は、カスタムメーカーは自分のピンにとてもこだわりを持っているということ。
山の種類(形状)で言うと、尖っているもの(ポイニースレッド)、丸いもの(ボールスレッド)、平らなもの(フラットスレッド)とわかれます。それに加えて谷底のほうが丸いのか平らなのか、ということが加わります。この山のサイズのことをメジャースレッド、と言い、谷のサイズをマイナースレッドと呼びます。このサイズがまたメーカーにより違うので、ピンの種類・形状は大変な数になる、ということ、わかったかな?
カーセンとサウスは同じ3/8-11でも微妙に違うし、ジョスウエストの88、89年製はそれ以前とは同じ14山だけど形状が違うのでジョイントキャップもシャフトも合わないのです。


すこーし今日は難しいよね、書いてる自分すらわからなくなりそうです。
「ジョイントピンは自分で作る」と言うキューメーカーも結構いますが、まず無理です、信じない方がいいです。
ジョイントピンと受ける側(インサート)の金物、それからラバーバンパーは作れません、良いものを作ろうとしたら設備だけで馬鹿になりませんから、外注しますね。私の知る限りピンまで作るのは今ではManzinoだけで、それもインサートが木だからできるのです。キューメーカーはピンを外注して手に入れますが、それが届いてからさらに磨きをかけなければなりません、荒いわけです。この作業も結構大変で時間がかかりますから、今はこれも外注するメーカーが多いですね。


話を戻して…、今日はもう少しオタクッぽい話をしましょう、お金は脅されないようにネ。
パイロテッドのスモールピンの場合、なぜ、差し込むほうがステンレスで受け側のインサートはブラスなのでしょうか?
読んでいる誰もがきっと考えた事がないと思います、野球では「なぜスリーアウトでチェンジか?」みたいな話ですよね?


素材的には色々な組み合わせがあったわけで、その中からステンレスとブラスが残ったわけです。鉄と木の組み合わせもあったわけだし、ブラス同士もありました、パラダイスやパーマーなどはその後者例で、1960年頃の話です。
色々な組み合わせがあった中から現行の組み合わせが残っているのはなぜ?と考えるのはとても楽しいことですよ、様々なプロセスを経て、最善のものが残っているわけですからね。


ステンレスとステンレスでは少しきつい、硬いということがすぐわかったのでしょう。ステンレスと鉄でも硬すぎて、尚且つ鉄は錆びてしまう。ステンレスとブラスではブラスがとてもやわらかくて加工しやすい、それから微妙な遊びがあっても錆びてくるからちょうど都合が良い、ということがキューメーカーたちは長い経験から知ったわけです。


では、このコンビでどうしてステンレスがピンでブラスがインサートなの?どうして逆はないのか?


これはステンレスが錆びないので見た目が綺麗、ということがまず第一に挙げられます。それから、ピンは独立しているので固い方が良いし、柔らかい方は周囲が補強されている方が良いのです。ブラスが柔らかく、ステンレスが硬いので、この関係はとても理にかなっています。それと、インサートの方がピンより削る部分がずっと多いので、加工するのに楽なブラスの方が向いています。
これに付随しますが、ピンの長さはブラスの倍以上あります。同じ長さのものを切る時にブラスの方が切る回数が多くなるのは追々見逃せませんね。


ステンレスではありませんが、一度キューのハンドル部のピンを削って抜く作業を見たことがあります。最後の一かけらがなかなか取れず、やっと取れた!と思って、指で拾ってえらい目に遭いました。すごい熱で指先が見る間に白く火傷して、一日氷付けでした。金属の加工は時間と手間がかかります。へたすると火傷もね。


ブラス、とは銅と亜鉛の合金ですが、ブラスと人類とのかかわりは300年にもなるそうです。だから我々の身の回りにはブラスがあふれています。ピカピカの金管楽器もそうですし、仏具とか鞄のふちなどにも使われています。そういえば5円玉もそうです。なになに…別名を「プアマンズ・ゴールド」?あ、だから僕の回りにいっぱいあるんだ、納得!


ちょっとここまで読み返してシモネタが入ってないなぁ…。でも今日のネタでは入れない方が良いよね、次回次回…。


パイロテッドのステンレス・スティールにブラス・インサートが現在のスタンダードですが、この土台になった人は誰でしょう?
また、同じように3/8-10ピンの普及に功績のあったキューメ−カーは誰でしょうか?


答えはGeorge BalabushkaとHarvey Martin。
名前だけ覚えていてください、実物はなかなか目にできないので。
ヨモヤマの「0.5インチの謎」では、私はHarveyを無視してと言うか書き忘れていましたが、フラットフェイスが西海岸で盛んな理由はカーセンブロックとサウスウエストによるものだ、とキューメーカーでさえコメントします。それは当たっていますが、でもLAではHarvey Martinがそれよりずっと前からフラットフェイスを使っていたのです。間違った書き方をしてごめんなさい、Jerryへの思い入れが強すぎましたね。お詫びに、と言っては何ですが、メープルの時に書いたかな、と思いますが…(まだ原稿が載っていないかもしれません)バーズアイメープル、と言うのは昔は一種の病気と考えられていたことはご存知の方も多いですよね。もったいないことにすべてストーブの薪になったわけです。そのバーズアイをキューに使用し始めたのがHarvey Martinです。彼のキューはプレイアビリティーを身上としていたために装飾がありませんでした。その中でバーズアイの模様に目をつけ、キューに使ったわけです。
彼はサウスウエストとバトンタッチするような時期に亡くなったわけですが、今、マーケットでブラスピンを使っている人はいるのでしょうか?やはり私にはサウスしか思い浮かびません。


では、なぜ彼らはブラスピンをフラットフェイスに用いるのでしょう?また、どうして他の人はあまり用いないのでしょうか?


ブラスをピンに使うメリットがいくつかあります。
ブラスはまず重さがあります。ステンレスの1.2倍で、チタンの倍。G10とは1オンス以上違います。
フラットフェイスではジョイントカラーが軽いフェノリックだったりするので、重さを前にするのに大変役立ちます。さらに見逃せないのは前にも述べましたが柔らかくて加工しやすく、光沢を出すのも簡単です。これだけで昔は充分に用いる理由になりました。


さて、ここからが問題で、利点なのか、欠点なのかの判断がキューメーカーの間でも分かれるところです。ブラスは経年変化で錆びますし、酸化もします。腐食とも言います。これがあるために現代のキューメーカーはブラスをピンに用いないのです。見た目にカッコが悪いし、ねじ穴の木も黒く汚れてしまいますからね。普通に考えればこれは正しいのですが、私の考えは少し違います、というかまるで反対なのです。ブラスの錆び・程良い汚れは経年変化で穴が大きくなってくる、受け手の木材との関係を助ける働きをしている、と考えています。ピンとインサートの状態を程良い状態に保つ役割をしていると言い換えられますね。汚れる、とは、摩擦がうまれる、ということなのです。
フラットフェイスのビッグスクリューピンの宿命、というのは受け手の木の穴が経年変化で少し大きくなること、昔のシンプルな形状ではどうしても緩くなってしまいがちでした。
だから現代のキューメーカーは山を平らにしたり、底を広くしたり…、その問題解決の為に色々と工夫をしてピンの形状を変えることをしています。プレイアビリティーをあげるために皆必死なんです、見た目もね。


今日はソフトバンクの摂津君に習って大体をストレートで行きました。文章が正確にコントロールできてない?
まだノンプロ、なんです…ご勘弁!


帰国したら試合を見に行くのが楽しみです。